2022/02/26世間の学校
言葉は語る「感想戦」
ゲームやスポーツといった勝負の世界は本当に厳しいものがある。勝者はみんなから称えられ、敗者は寂しく
立ち去っていく。「敗軍の将、兵を語らず」という如く、また「勝てば官軍」というように勝負の世界ほど、
はっきりしたものはない。しかし、また一方で、「勝ちに不思議な勝ち有り、負けに不思議な負けなし」という
プロ野球の名監督、故・野村氏の名言(本当は、肥前の国第 9 代平戸藩主、松浦静山の言葉とされている)とし
て知られている。
たしかに、勝負に勝つことは、全てが許されるが、負けてしまえば、多くの人からバカにされたり、無視され
た、寂しい思いで落ち込むのが普通。しかし、負けたときこそ、失敗の原因を究明し、次回への糧とすべきでは
ないか。逆に勝ちは幸運や偶然やツキによってもたらされることが多く、勝ちから学ぶべきものは意外と少ない
ともいえる。
ところで、日本の将棋の世界で面白い考え方がある。将棋の試合が終了すると、その試合の投了後に勝者と敗
者が一緒になって対局を振り返って、勝因、敗因等を分析する「感想戦」というものがある。史上最年少の 17
才11 ヶ月で棋聖戦のタイトルを取った藤井聡太氏は、この「感想戦」を大切にしているというが、これは日本
人が世界に誇れる考え方かもしれない。似たような考え方が囲碁、チェス、麻雀などにもあるが、負けを素直に
認めて真剣に考える人々には明るい未来があるはずだ。負けを認めて、負けから学べる人、組織は強い。中小企
業も今、発想から学ぶべきことは多いはず。