2022/02/26世間の学校

数字は語る「60 万社」

会社は人と共にある。とりわけ中小企業では、社長自身が会社そのものである。社長が老いれば会社も老いる。
それでは、社長が死ねば会社も死ぬのか。日本人の高齢化と共に、会社も高齢化している。どんなにすばらしい
会社でも、社長には寿命がある。しかし、社長の寿命によって、会社が終了するわけにはいかない。まさに会社
はゴーイング・コンサーン（継続企業）である。そこには多くの社員の生活がかかっているからである。

国の試算によると事業継承に苦労する中小企業が増えているという、その数、約 60 万社が後継者難で事業自体
は黒字であるにも関わらず倒産に追い込まれる恐れがあるといわれている。もったいない話でもあるし、日本の
損失でもある。雇用や技術を次世代に受け継ぐには、どうすべきか。日本企業の成長戦略の 1 つとして M&A
（合併、買収）があるが、これからの中小企業の大廃業時代を乗り切るには、この方法しかないのかもしれな
い。日本M&A センターやレコフといった企業の活躍の場かもしれない。

しかし、身近な相談相手としての会計事務所の役割も無視できないはず。いや、むしろ、会計事務所こそ企業
の実情を最もよく知り得る立場にあるのであるから、その役割は推して知るべし。問題は、買収価格の算定にあ
る。会社の売買は単なるモノの売買ではなく、ヒト、モノ、カネのカタマリとしての組織的一体化の取引であ
り、その売買価格の算定は難しい。決算診断をベースとした各種の評価方法の開発は急務。長期にわたって成
功する会社の評価は困難を極めるが会計事務所にとって避けて通れない問題かもしれない。