2022/02/17世間の学校
数字は語る「15 兆円」
睡眠は我々の生活にどれだけの影響を与えるのだろうか。悩み事が多く、眠れない日々の疲れ、逆にぐっすり
眠って気持ちよい朝の目覚め。仕事に対する意気込み、やる気は全く異なる。
当たり前かもしれないが、睡眠は、健康、仕事、気力等に、強い影響を持つ。快適な寝室、寝具の下での健や
かな睡眠が我々の生活をどれだけ豊かにするのか。この点についての理解は、おおむね共感されるかもしれな
い。しかし、睡眠不足(睡眠負債)がどれだけの経済的損失をもたらすのだろうか。この点については、議論
がある。特に長時間労働や、不眠不休をよしとしてきた日本の企業の生産性の低下によるダメージが問題視さ
れるようになってきた。
経済協力開発機構(OECD)の 2021 年版調査によると、日本人の平均睡眠時間は、7 時間 22 分で加盟国のうちの
30 カ国で最下位。全体平均の 8 時間 24 分と、約 1 時間の差がある。この「寝不足」の GDP に与える効果が
年間15 兆円といわれる。これは、睡眠時間という量的問題であるが、早い眠り、深い眠り、気持ちよい目覚めといった質的要素も問題になる。確かに我々の仕事は調子の良い時はすごくはかどるが、疲れた時や、やる気の
ない時は、効率が悪いのはわかる。良く考えてみると、この原因の 1 つに「寝不足」があるようだ。労働人口
の減少時代においては、人口増による経済成長は考えられないので、1 人当たりの生産性をいかに上げるかが緊
急の課題とすれば、もはや長時間労働によるビジネスモデルを転換して、睡眠負債を解消して、「すっきりした
労働」を考えるべき時かもしれない。