2021/11/29世間の学校
話題の企業 「キーエンス」
株主重視の経営といわれて久しい。企業経営者は経営の成果を株主にいかに多くを還元するのか。還元の方法
としては株価を上げるか、配当を増やすかしかない。いずれにしても、その根っこにあるのは利益。利益が上
がれば株価は上がり、配当も増やせる。そのため、いかに多くの利益を上げたかで企業の優劣が測定される。
しかし、利益は収益-費用で計算される。売上を伸ばすには不確実が伴う。しかし、コストはコントロールが
可能。そこで、手っ取り早く利益を上げるのが費用の節約。特に費用の中でもウエイトの大きいものが人件
費。こうして人件費を節約して利益を出し、その利益を株主に還元する。これをいかに大きくしていくかが、
経営者の腕の見せ所。こうして連続増配記録や、株主還元性向といったデータが重視される。しかし、これで
良いのだろうか。従業員への還元はどうなっているのか。
上場企業の中で社員の平均給与が市場平均よりも高い企業(2021 年 3 月期決算の上場会社で日経 500 種平均
株価採用銘柄で従業員 100 人以上の 355 社を調査)はどこか。なんと、キーエンスの 1751 万円。一体、キー
エンスってどんな会社か。1974 年の設立で、まだ 50 年しか経っていない。FA(ファクトリー・オートメーシ
ョン)センサーなど検出・計測制御機器の大手。生産は全て外部に発注し、工場を持たない製造業(ファブレ
ス企業)の代表。そのすごさは、何といっても営業利益の高さにある。2021 年 3 月期は、5,381 億の売上に対
して、営業利益 2,767 億と営業利益率 50%はびっくりもの。従業員 2,607 人(単体)の平均給与なんと 1,751
万円で日本一。同社は営業利益の一定割合を年 4 回の一時金の他、毎月賞与として、支給する。本当の利益は
従業員への十分な還元があってからの株主還元と言えそうだ。それにしてもすごい会社があるものだ。