2021/09/27世間の学校
時流を読む「これからの人材育成-リカレントからリスキリングへ-」
「卒業証明書」や「資格証明書」が一体どんな意味を持つのだろうか。永久ライセンスとして宝物のように持
ち続けるものだろうか。それは単に、その時(時点)、一定の能力があったことを示しているのかもしれない。
しかし、今、それが通用するのか。今まさに AI、IT の進化で経営環境の激変はめざましい。過去の栄光は、
いつまでも持続するものではない。では、どうすればよいのか。今、各企業において、自社の従業員の能力再開
発(リスキリング)に取り組み始めた。
リスキリングで、この先必要になると思われる職業能力にはどんなものがあるのか。それを身につけるために
は、どのような学習をするべきかという意味で、仕事を離れて学び直す「リカレント教育」と区別される。これ
までの延長線ではなく、全く新しい価値を創造するための能力開発であり、OJT(職場内訓練)とも異なる。
今、自分がやっている仕事が今後 5 年間で陳腐化するか否かのアンケート結果については、年齢が若い世代
(25 歳~34 歳)では、約 50%が陳腐化すると回答しているが、年齢が高い世代(55 歳~64 歳)でも、40%弱
と若い世代と比べると低い結果となっているが、その危機感はすごい。いずれにしても、このままではダメだ。
何とかしなければと思っているのは事実のようだ。
企業が従業員にリスキリングの場を提供するためには、どうすればよいか。リクルートワークス研究所では、
次の 4 つの手順を提案している。①まず今後の事業戦略で新しく必要とされるスキルの明確化と、すでに従業員
が持っているスキルとのギャップを可視化すること。 ②そのギャップを埋めるための学習プログラムをそろえる
こと。 ③学習プログラムの進捗状況や理解度、習熟度などを把握し、サポートすること。 ④学習したことを現
実の仕事において実践する場を提供すること。
いずれにしても、企業にとって、従業員の能力向上のための現場作りは、今後の成長にとって不可欠の条件と
なる時代が来たようだ。