2021/07/28世間の学校
言葉は語る「企業統治指針 コーポレートガバナンス・コード」
上場企業の経営はどうあるべきか。6 月から金融庁と東京証券取引所の「企業統治指針(コーポレート
ガバナンス・コード)」が全面的に適用へ。1990 年代のバブル経済の後遺症ともいうべき企業不祥事が相
変わらず多発している。そのため、欧米並みのガバナンス改革が求められていた。2015 年にルールが作ら
れたが、今回は、その改訂版。今回の改訂の中心は、「comply or Explain(従うか、さもなくば説明せよ)」。
コードは厳密な意味での法律(ハード・ロー)ではないが(従って罰則もない)事実上受け入れざるを得
ない(市場取引における事実上の不利益を受ける)ルール(ソフト・ロー)といえる。ガバナンスの良し
悪しが株価や資金調達にも影響を与えるため、企業側の対応も大変。改訂のポイントは内容的には①脱炭
素(カーボンニュートラル) ②多様性(ダイバーシティ) ③知的財産。
しかし、その前提として、東京証券取引所の市場区分の問題がある。2022 年 4 月より、現在の 4 つの市
場区分(一部、二部、ジャスダック、マザーズ)を 3 つの市場区分(プライム、スタンダード、グロース)
に変更する。現在の東証一部からプライムに残る条件は、流通株の時価総額の他に、取締役会の 3 分の 1
以上を独立社外取締役とすることが求められる。経営陣のスピーディーな執行と厳格な監督のバランスが
一層求められる時代になった。中小企業においても経営の透明度を高め迅速な経営執行と適切な監督が求
められる時代になってきていることは、同じ状況にある。多くの企業にとって企業の業務執行にばかり目
が向きがちであるが、業務執行の監督の面もしっかりやっておくことが大切となってきた。