2021/03/25世間の学校
人を読む「六代目 神田伯山」
2020 年 2 月 11 日、東京新宿末広亭で神田松之丞が真打昇進。六代目神田伯山を襲名。これが長蛇の列で徹夜組が出るほどの超人気。一体、講談の世界では何が起きたのか。
人間が生きていく上で、喜怒哀楽は不可欠。つまらない世の中をおもしろ、おかしく楽しく生きるのが人生の極意。笑いのない人生なんて考えられない。こうした状況が新しいスター誕生と結びついてブームは起きる。そして、落語ブームや漫才ブームはあったが、講談については不人気の代名詞。講談は古い歴史物語がベースで、旧態依然たる化石そのもの。勧善懲悪、英雄礼賛の昔話は絶滅危惧種といわれていた。しかし、新しいスターの登場で状況一変。100 年に 1 人の天才講談師が誕生した。その語り口、テンポ、迫力は、実力十分。
1983 年東京生まれ、大学受験よりも落語に没頭した日々を送る。三遊亭圓生、立川談志で目覚め、観客の視線の大切さを学ぶ。勉強のつもりで講談の世界に入ったのがこの世界のスタートで、めきめき上達し、その迫力ある語り口で観客を魅了する。単なる語り部でなく、観客の反応を見ながらの演出、編集はもはや講談師を超えている。スターの登場は、こんなにも状況を変えるものか!