2021/01/28世間の学校
言葉は語る「劣後債」
新型コロナ下の企業にとって、最も大切なことは何か。特に大企業にあっては、資金の確保が不可欠。何
故なら、企業の倒産は、赤字でもなく債務超過でもなく、支払不能にあるからだ。その支払不能を回避する
手段は、資金の確保以外に道はない。資金の確保には、どんな手段があるのか。返済しなくても良い資金調
達としての資本か、返済が必要な資金調達としての負債か。業績が好調で株価が高い企業なら、資本による
調達が可能であるが、そうでなければ負債による調達しかない。
企業収益が悪化する時代における資金調達は、負債が中心とならざるをえない。負債による資金調達の難点
は2つ。①総資本が増え、自己資本が一定となると、自己資本比率という重要な財務比率の悪化が生じること
②負債は返済が必要であるため、果たして返済が可能であるのだろうか。特に債務償還年数が問題となる。
この 2 つを回避する手段として、今、劣後債が人気となっている。劣後債は社債の一部だが、普通の社債
より返済の順位が低い代わりに超長期の返済期限が多く(究極的には永久劣後債)金利は、通常の社債にく
らべて割高ではあるが、一部を資本として認定するため、負債と資本の両面を持ついわゆるハイブリッド型
の社債といわれている。
この低金利で運用難の機関投資家にとっても少しでも高い金利を求めているので、そのニーズにも合致して
いる。特に永久劣後債については、国際会計基準(IFRS)では、全部を資本として扱えるというメリットがあ
る。このように現在の低金利下では、劣後債は企業にとっても、機関投資家にとっても人気となっており、
その発行額が増大している。資金確保の必要性については、中小企業でも同じ状況にあるはず。中小企業でも
このようなものを考える必要があるのではないか。銀行の対応が望まれる。