決算診断は最大のビジネスチャンス! 税理士・会計事務所のための決算診断システム「社長の四季」

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過去分析と未来予想で顧問先企業を支援する山本総合会計の付加価値戦略

税理士法人山本総合会計 代表 税理士 山本孝久

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税理士法人山本総合会計(東京都目黒区)は、決算報告会による「過去の分析」と事業計画作成による「未来の予想」を特徴としている。決算報告会では㈱プロスの決算診断システム「社長の四季」を活用し、そのデータをもとに事業計画を作成することで、顧客企業の経営を過去と未来の両面でサポートしている。代表税理士の山本孝久氏に、同法人が目指す会計事務所としての付加価値戦略、社長の四季を活用するためにおこなった組織作りや具体的な利用法、人材育成の考え方などについてお話しいただいた。


顧問先1件からスタート
―― 最初に、税理士法人山本総合会計の沿革からお聞かせください。
山本 私は、税理士試験に合格後、1986年に税理士登録しました。そして、1989年10月に独立し、山本税理士事務所を開業しました。顧問先1件からスタートしたため、収入が事務所の家賃よりも少ない状態がしばらく続き、貯金がすっかり底をつくなど、順調な船出とはいえませんでした。
 しかし、開業当初から「本業に徹せよ。しからば道は開かれん」を座右の銘として、「月次監査と経営者に役立つ決算書の作成」にコツコツと取り組み続けてきたことで、だんだん顧問先が増えていきました。それにあわせて、スタッフも少しずつ増えました。
 こうした地道な積み重ねを経て、2006年5月から、税理士法人山本総合会計として新たなスタートを切りました。開業21年目を迎えた現在、顧問先は法人と個人を合わせて約180件、スタッフは9名になっています。


顧問先拡大のために経営分析ツールを導入
―― 事務所が成長していくなかで、㈱プロスの決算診断システム「社長の四季」をどのような経緯で導入したのでしょうか。
山本 きっかけは、開業から3〜4年経ち、顧問先も数十件に増えたころに抱いた2つの疑問です。それは、「会計処理と税務申告だけをおこなう会計事務所でいいのか」「お客さまは当事務所のサービスに満足しているのか」というものです。そこから、顧問先を増やすと同時に、現在の顧問契約を解除されないために、ほかの会計事務所との差別化を図りたいと考えるようになったのです。
 ただ決算書を作って、説明も何もなくハンコをいただくだけでは、差別化にはなりません。もともと経営分析には関心があったものの、単なる数字の羅列では説得力に欠けます。分かりやすいグラフや説明文を作成できる分析ツールが必要だと感じていました。
 ちょうどそんな時に、送られてきたFAXを見て、プロス開催の研修会に参加しました。何度か出席しているうちに、プロスの代表である浅沼先生の言葉に感銘を受けました。例えば、「会計事務所の基本業務は月次監査と決算」「決算時は経営者と会うことができるので、最大のビジネスチャンス」「デジタル化が進んでも、最後は経営者とのアナログの関係」といったものです。
 こうした言葉を初めて聞いた時は大変新鮮に感じましたし、感動もしました。「こういう先生に付いていけば間違いない」と、すっかり惹き付けられたのです。そしてもちろん、製品自体も優れていたので導入を決めました。


失敗をバネに事務所の付加価値向上を目指す
―― 導入後はすぐにフル活用なさったのでしょうか。
山本 残念ながら、現実は理想にはほど遠いものでした。当時はまだ、社長の四季を十分に使いこなせるだけの体制が整っていなかったからだと思います。そのころはアルバイトがひとりいたくらいで、私自身が忙しく駆け回っていたので、時間がなくてやりたいことも満足にできませんでした。準備不足のまま決算報告会を実施していましたが、お客さまからのリクエストもなく、導入から2年ほどで使わなくなってしまったのです。
 また、忙しくて研修会に参加できなかったことも一因です。我流の使い方では、どうしても限界がありますから。
―― それをもう一度活用しようと考えられたきっかけは何でしょうか。
山本 順調に顧問先が増えて100件前後になった時に、あらためて「申告書にハンコを押しているだけでは、お客さまが離れてしまう」と痛切に感じたのです。
 事実、何もミスをしたわけではないのに、顧問契約を解除されたことがあります。ある顧問先の経営者から、「山本税理士事務所の特徴は何か」と訊かれた時に、うまく答えられなかったことが理由でした。これは大変ショックでしたし、同行したスタッフにも悲しい思いをさせてしまいました。
 この経験が、社長の四季を再び使い始めたもっとも大きな理由です。「このままではいけない」と反省し、事務所の付加価値を高めるために、手元にあるツールで何ができるかを考えた結果、原点に戻って社長の四季を活用することにしたのです。
 そこで、研修会にも積極的に参加して、一から勉強し直しました。単に数字を入力して作成した資料を渡すのではなく、経営者に内容をしっかり説明できるようになるため、主に技術的、営業的な部分を研究しました。中でも、もっとも役に立ったのがロールプレーイング研修です。
 こうした研修会だけでなく、プロスさんはいろいろ親切に教えてくださるので、本当に助かっています。


「社長の四季」を活用するための組織作り
―― そうした苦い経験から、あらためて事務所の特徴を作り上げようと決意されたわけですね。
山本 そうですね。一生懸命やっているスタッフを、二度と悲しい目に遭わせたくありませんから。
 この経験は、私とスタッフ全員の間で「よい事務所にしなければならない」という思いを共有させるに至った大きな出来事でした。
―― 具体的に、どのような取り組みをされたのでしょうか
山本 社長の四季を用いた決算報告会の実施を目的とした組織作りから着手しました。そのためには、正確な月次試算表と決算書の早期作成が不可欠です。また、決算報告会で使う資料はすべて私が作成しているので、その作業の時間を作る必要もありました。
 そこでまず、自分の時間を作るために、これまで私がおこなっていた業務をスタッフに委任しました。各顧問先の担当者の上に副代表を2人置いて、担当者が受けたお客さまからの質問や相談には副代表が対応するようにしたのです。
 決算の事前検討も原則として担当者と副代表がおこない、お客さまに納得していただいた数字が私のところに上がってきます。
 そのデータをもとに決算診断書などを作成し、私が直接お客さまに説明するという流れです。
―― 権限の委譲とナンバー2の育成を進めたわけですね。
山本 幸いなことに、この取り組みを始めた時にはスタッフもそれなりにいて、経験を積んだベテラン揃いでしたので、安心して業務を任せることができました。
 とはいえ、正直にいえば最初は抵抗がありました。お客さまも、私が伺うことで満足していたところもありますから。
 しかし担当者が、当事務所がこのような組織になったことを、しっかりお客さまに伝えてくれました。スタッフにそういう意識が浸透していないと、権限委譲もなかなか進みません。ですから、スタッフの力も大きいと思います。
―― スタッフの方にもロールプレーイング研修をおこなっているのでしょうか。
山本 特にしていません。長年の経験に加え、もともと素質のある人ばかりなので、自然とうまくいきました。
 それと、スタッフ同士のコミュニケーションも役に立っているのでしょう。よく「こういうことがあった」と情報交換したり、「どうしようか」と相談したり、先輩から「私はこうだった」とアドバイスしたりしています。
―― インターネットに情報が溢れているなか、お客さまにアピールできる特徴を持っているかどうかは重要です。
山本 そうですね。そのためにも、社長の四季のような分析ツールは必須です。


決算診断による「過去の分析」
―― 社長の四季をどのように活用しているか、具体的に教えていただけますか。
山本 先ほども申しあげたように、決算報告会で使用する決算診断書などの資料はすべて私が作成しています。ですから、社長の四季を使っているのは私だけです。このあたりが、ほかの会計事務所とは異なるかもしれません。
 決算報告会で経営者に説明する役割も私が務めます。その理由のひとつは、私から直接説明を聞きたいというお客さまのリクエストに応えるためです。いくらインターネットが進化した時代といっても、浅沼先生の言葉のように「最後はアナログ」、すなわち「心」ですから、必ず私が伺って説明しています。
 決算報告会では、決算診断書を通信簿にたとえて説明しています。社長であれば当然気になりますから、皆さんが知りたがります。この形式のよいところは、何がよくなかったかを何度も言う必要がないことです。悪かった点を2〜3指摘して、あとは資料を見ていただくという形がとれます。
 説明時間はお客さまによってまちまちですが、毎年必ず決算報告会を実施することで、そのための時間を作って待ってくれるようになります。このように、お客さまからの信頼も得られることが非常に嬉しいですね。そういう関係を築ければ、お客さまが離れることはありません。
 いわば、お客さまをつなぎとめる「心」のツールとなっています。
―― 決算診断は無料で提供しているとお聞きしました。
山本 当事務所では、社長の四季を直接報酬の増加に結びつけるのではなく、新規顧問先のご紹介や事業計画につなげるための間接的なツールとして活用しています。料金をいただくとかえってプレッシャーがかかり、肩に力が入ってしまいます。無料にしたことで、こちらも気が楽になりました。


事業計画による「未来の予想」
―― 決算診断で過去の分析をしたうえで、未来の予想である事業計画に進むという流れですね。
山本 決算報告会で使う資料のひとつに、「会社存続のための売上・利益」があります。具体的には、「資金不足を生じないための売上高」と「今回決算の分岐売上高の比較検討」を示したもので、もっとも重要な資料です。これをもとに、「事業計画書を作成しませんか?」とご提案します。
 その際に、事業計画書の作成は有料であることと、具体的な金額をお伝えしていますが、特にクレームはありません。
―― 決算報告会で信頼を得ているからこそ、お客さまも納得するのではないでしょうか。
山本 そうですね。どちらも有料にすると抵抗があるでしょうから、決算診断を無料にした効果は確かに出ていると思います。
―― そこが付加価値にもなっているわけですね。
山本 ようやく組織として理想の形が作れたと感じています。


適切な投資がもたらすさまざまな効果
―― お話を伺っていると、よい事務所作りを着々と進められている印象を受けます。
山本 ありがたいと思うのは、私が何か提案すると、スタッフ全員がスッと同じ方向を向いてくれることです。
 例えばミーティングなどでは、私はアイデアを提供するだけですが、それを皆で検討して「やろう」と決まったら、全員が一丸となって取り組みます。
―― その結束力はすごいですね。
山本 ですから、できるだけスタッフが仕事をしやすい環境を用意することも私の役目のひとつです。そのための投資を惜しんではならないと思います。ここをおろそかにすると、事務所全体の方向性を一致させるのが難しくます。
 また、私はお金をかけなければお客さまからお金をいただけないと考えています。もちろん、どこに投資するかが重要で、事務所とお客さまの役に立つものでなければなりません。社長の四季の導入も、そうした投資のひとつです。
―― 先ほど、職員同士の情報交換が活発とのお話でしたが、お客さまの情報管理もシステム化されていますか。
山本 2009年までは紙ベースでファイリングしていましたが、2010年以降の申告に関しては、文書管理ソフトを使い、すべてパソコンに格納してペーパーレス化しています。添付書類などは、スキャナーで取り込んでPDFで保存する形に移行しています。
―― 職員の仕事やコストの軽減につながる投資をされているわけですね。
山本 電子申告もそのひとつです。こちらは導入にあたって多少反対があったのですが、実際に使ってみたら、反対した本人も便利だと言っていました。

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人は「褒めて伸ばす」
―― 会計事務所が伸びるかどうかは、人にかかっていると思います。山本先生の人を育てるポイントは何でしょう。
山本 人のいる前で褒めることです。もともと当事務所のスタッフはあまりミスをしませんが、誰でも褒められれば嬉しいものです。私は、自分もそうされるのが好きなので、褒めて伸ばすようにしています。そうすると、耳の痛いことを言っても素直に聞いてくれます。
 もうひとつは、トップの私が細かいことをいちいち言わないことです。実務上の細かい部分については、副代表がしっかりチェックしていますから。副代表は2人とも税理士資格を持っており、経験も積んでいるので、安心して任せられます。
―― 顧問先の拡大については、具体的にどのような取り組みをされていますか。
山本 先ほども申し上げたように、当事務所の特徴は、過去の分析と未来の予想です。前者は社長の四季による決算診断であり、後者は事業計画です。まずは、この2つの柱をアピールしています。
 また、私もある程度の人脈ができてきたので、そちらから定期的にご紹介いただいています。もちろん金融機関もありますが、現在は提携しているコンサルティング会社からの案件のほうが多く、1年に10件程度はご紹介いただいています。
―― 年間でどのくらい顧問先が増えていますか。
山本 当事務所の場合、年間10件といったペースです。急激に伸びることはなく、地道な積み重ねですが、下がることはありません。
 しかし、以前に研修会で、浅沼先生が「年間で全体の5%程度はお客さまがなくなる」とおっしゃっていました。事実、2009年はリーマンショックの影響もあり、前半だけで15件ほど減ってしまいました。しかし、最終的には25件くらい増えています。
―― リーマンショックのような不測の事態が生じた時に、何も手を打っていなければ、お客さまが減ったままになってしまいますね。
山本 それが続くと、事務所の経営基盤そのものが危うくなってしまいます。ですから、顧問先を拡大するためのしっかりした戦略を立てることが重要だと思います。


事務所の将来を担う人材育成にも注力
―― 経済環境の先行きが不透明ななか、税理士法人山本総合会計の中期的な成長戦略をお聞かせください。
山本 若い人材を入れて育てることが最大の目標です。これは、副代表の2人とも話したうえで決めた方針です。私も副代表もだんだん年齢が上がっていきますから、お客さまのためにも、事務所を次の世代へつなげていかなければなりません。
 もちろん、それにあわせてスタッフも増えるでしょうから、顧問先も拡大していく必要があります。
―― 人を育てることが事務所の成長につながるというお考えですね。
山本 恥ずかしながら、それしかできないというところもあります。
 誰かから教わったのでも、本を読んで勉強したわけでもないので、そういう人生観としか言いようがありません。
 私は幸いなことに優秀なスタッフに恵まれ、皆に助けてもらっています。そのスタッフたちから「ここで長く働きたい」と言われたら、なんとしても続けていかなければなりません。
 また、現在の顧問先は、当事務所の考え方を理解し、私とスタッフを気に入ってくれているお客さまばかりですから、何事もスムーズに運ぶようになっています。
―― スタッフだけでなく、お客さまとの価値観の共有は極めて重要だと思います。
山本 そうですね。それがうまく働いて好循環を生み出しているのではないでしょうか。
―― 最後に、弊誌の読者の皆さまに向けて一言メッセージをいただけますか。
山本 私にとって一番の教えは、浅沼先生の「税理士の本業は月次監査と決算」という言葉です。それが基本であり、そこから外れないようにすることが肝心ではないかと思います。
―― 本日は貴重なお話をありがとうございました。税理士法人山本総合会計のさらなる発展を祈念しています。