決算診断は最大のビジネスチャンス! 税理士・会計事務所のための決算診断システム「社長の四季」

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月刊実務経営ニュース 2013年12月号掲載記事

決算書をより高品質な商品へと変える
「決算診断」の深奥

浅沼経営センターグループ 会長 税理士 浅沼邦夫

080625_zissen_03.jpg決算診断提案書作成システム「社長の四季」で全国的に知られる浅沼経営センターグループ(栃木県足利市)。経営コンサルティング会社の株式会社浅沼経営センターを中心に、税理士法人等7つの組織からなるコンサルティンググループである。「社長の四季」はこれまで、全国で累計1500 を超す会計事務所に導入されてきた。今回の取材では、決算診断を活用した経営支援型会計事務所の実現と、決算書の数字を数値に変える決算診断提案書システムの有効性について、浅沼経営センターグループ会長の浅沼邦夫氏(写真)にご教示いただいた。

今も昔も変わらない税理士の強み

―― 「事務所経営50年を超える経験の中で、会計事務所を取り巻く環境を過去から現在を見て、どのようにお考えですか」

浅沼 かつての高度経済成長期には、多くの会計事務所がお客様を増やしましたが、同時に税理士の数も増えて業界内での競争が激化しました。
 そして現在も、会計業界では激しい競争が起きています。税理士法改正により報酬規定が廃止され、税理士を自由に選べるようになったことで、会計事務所を取り巻く環境は、極めて厳しいものとなっています。また、そのような環境変化の一方で、ハード面では、そろばんから電卓、コンピュータと大きく変化していきました。
 しかし、環境は変化しても、実は会計事務所の仕事、社会的役割そのものはそれほど変わっていないのです。日本企業の99%以上が中小零細企業であるなかで、それらの企業を守り、日本の財政を支えるという税理士の使命、業務は、昔も今も変わっていないと思います。

―― それこそが税理士の強みなのかもしれませんね。

浅沼 そうですね。企業は経営者次第です。だからこそ、経営者は常に問題を抱えています。ところが、そのほとんどは相談相手がいません。仕事上、その会社の数字すべてを把握している顧問税理士は、そのような孤独な経営者の唯一の相談相手なのです。決算時には、社長がわざわざ時間を割いて待っていてくれるのです。社長と容易にコミュニケーションが取れる。このポジショニングこそが税理士の最大の強みではないでしょうか。

―― しかし、そのような経営者たちの期待に、税理士はこれまで応えてきたのでしょうか。

浅沼 私は、経営者の方々は今の税理士の仕事に物足りなさを感じていると思います。例えば、「決算」は1年の総括であり、経営者の方々に高い関心を持たれるべきものです。ところが、決算書は分かりづらい、役に立たないと感じている経営者は少なくありません。私に言わせれば、それは税理士の怠慢です。税理士が決算書の説明をしないため、経営者は決算書にあまり関心を示さなくなっているのです。決算書によって会社の状態を把握できることを知らないのです。
 極めて有利な立場にありながら、これまで税理士は「先生」と呼ばれることに胡坐をかき、自分たちの都合を優先してきた。顧客志向に乏しかったと思います。

「社長の四季」誕生の経緯と効果

―― そこには、今まで決算書が単なる税金の計算にしか使われてこなかったという経緯があるのでしょう。

浅沼 かく言う私も、社長さんが望む決算報告をしていなかった時代がありました。30年くらい前の話です。MAS業務にも取り組みましたが、実質的には処理型の会計事務所に甘んじていたのです。
 当時、社長さんたちは物足りない顔をしていました。欲しいものはこれじゃない......と。そこで、何が物足りないのかを考えた末、「決算」にヒントがあると気がついたのです。決算をしない会社はありません。なのに、決算など役に立たないと社長さんは言う。では、社長が望む決算とは何か。社長の要望を叶えるにはどうすればよいか。そのような問題意識から、さまざまな提案が生まれました。
 当時、浅沼経営センターでは「MAS業務」に力を入れていました。経営計画の策定や社員養成講座などの取り組みを通して、知識とノウハウを蓄積することができ、そこから「決算MAS」を考え出し、「決算報告」のシステムを作ろうという発想につながっていったのです。社長と税理士が年に1回、会社の経営についてとことん話し合う。そのためのコミュニケーションツールです。パソコンもない時代ですから、すべて手書きです。そこから社員と力を合わせ、システムを作り上げていきました。  つまりは、処理型ではないお客様志向の経営支援、それをひとつの形にしようと考えた。それが決算診断の原点です。

―― 浅沼経営センターが開発し、グループ会社のプロスが長年その普及に努めてきた「『社長の四季』決算診断提案書システム」ですね。

浅沼 「社長の四季」は、会計事務所の商品である決算書(貸借対照表、損益計算書)を入力することで、「決算診断提案書」を作成するシステムです。「決算診断提案書」は、決算書の解説書といえるでしょう。数字を数値に変えることで、決算の世界を大きく変える力を持っています。現在、顧問料など社長の都合に合わせて、フルセット版、帳票選択版、特別対応版のなかから選択することができます。

―― 貴社はこのシステムを自社内に留め置かず、他の事務所にも積極的に紹介してこられましたが、それはなぜでしょうか。

浅沼 「社長の四季」が会計事務所の、ひいてはその顧客である中小企業の繁栄につながると思ったからです。
 「社長の四季」を活用することで、浅沼経営センターは、3つの課題に挑戦してきました。ひとつは新規顧客拡大、ひとつは顧問料・決算料等の固定収入の増加、そしてもうひとつは人の成長を重視した経営です。私たちが実際に使ってみた結果、このシステムがお客様に大変喜ばれるものであり、それゆえに会計事務所の差別化戦略にも効果を発揮することを確信しました。決算を分析し、それを決算報告書として提出すると、本当に経営者の方々は皆喜んでくださいます。初めてこの決算診断提案書を見たすべての社長が、その内容に驚き、感動されます。そして、会計事務所とお客様との絆が一層深まるのです。それなら、他の事務所のお客様にもどんどん使っていただこうと思ったのです。

1000を超す会計事務所で活用されている決算診断システムの威力

―― 決算診断がお客様に喜ばれる理由はどこにあるのでしょうか。

浅沼 会計事務所は、業務処理型、専門特化型、経営支援型に分けられると思いますが、ひとついえることは、何型であっても、顧問先のなかに決算をしない会社はないということ。そして、本来、決算に関心のない社長はいないということです。
 決算書は、経営の過去と未来の間にある現在を表したものです。経営において一番大事な部分です。社長に関心がないわけはありません。その会社の経営にとって一番大事な決算を単なる数字で終わらせず、数字を数値に変えて、そこに言葉(解説)を添える。売上はよいけれども、収益性に問題がある、利益が悪い、そのようなことを分かりやすく社長さんにお伝えすることができる。それが、決算診断がお客様に喜ばれる所以です。

―― 会計事務所が決算診断に取り組むメリットについてお伺いします。

浅沼 ひとつは新規顧客の拡大につながるということ。2つ目は固定収入、いわゆる顧問料、決算料アップが実現できるということ。そして社員教育です。「社長の四季」を活用することで、担当職員が顧問先の社長とコミュニケーションを取れるようになる。これにより営業マインドを養うことができます。営業マインドの醸成こそが、社員教育の要だと私は思います。そして、それがまた、紹介による新規顧客獲得や顧問料アップにもつながるという好循環を生み出します。

―― 決算診断は、一般の会計人にとって苦手である「営業」の力を養ううえでも大きな効力を発揮するのですね。

浅沼 このシステムを使えば、作成した決算報告書を基に、誰でも社長と会社経営にまで踏み込んだ話ができるようになります。それまで所長先生しかできなかったような、お客様(社長)との会話が、担当職員にもできるようになるのです。それが決算診断の最大のポイントといえるでしょう。
 浅沼経営センターでは「出前勉強会」というものを実施しています。お客様のところに出向いて行う出前セミナーですね。その講師は社員が担当します。日常業務の現場において決算診断アドバイザーとしての資質に磨きをかけ、そのノウハウを講師として皆様にお伝えしているのです。勉強会を行う会社さんは下請け企業や取引先にも声をかけてくださいますから、今度は、それらの会社の顧問会計事務所から決算診断のお問い合わせや引き合いが来るようになる。そのようにして「社長の四季」は多くの会計事務所へと浸透していき、現在、1000を超す会計事務所さんでご活用いただいています。

決算診断により、社長を数字に強い経営者へと成長させる

―― 決算診断で決算書に関心を持つようになった社長さんは、数字に強くなるのではありませんか。

浅沼 そのとおりです。数字が数値に変わることで、経営者は財務諸表から会社経営の状態を読み取ることができるようになります。自社の状態を客観的に見られるようになるのです。
 幾多の修羅場をくぐり抜けてきた経営者のなかには、自分の経験や勘に自信を持っている方が少なくありません。もちろん、それらが経営においてしばしば重要な役割を果たすことも事実ですが、経営に計数感覚は必要不可欠の要素です。なぜなら、売上、利益、コスト、資金など、会社を取り巻く環境はまさに数字で成り立っているからです。ビジネスは数字との戦いなのです。

―― 今の時代、数字に強くない経営者は生き残れないと思います。

浅沼 数字に強いということは、物事を大局的に見る力があるということです。売上よりも利益率やコストに敏感になり、収益率の低い商品を大胆に切り捨てることができるようになります。数字に強くなれば、自ずと問題意識が生まれてくるのです。問題の本質を見抜く力がついてくるのです。決算診断システムを活用すれば、決算書を見るための3つの視点―「税務署の目」「銀行の目」「社長の目」も養うことができます。

―― 「3つの目」についてもう少し詳しくご説明いただけますか。

浅沼 銀行は会社に融資をする際、信用の格付けをします。決算書を見て、その会社の経営を採点するのです。これが「銀行の目」。しかし、銀行に一方的に採点されて終わりではいけません。経営者は自らの目で自社の経営を客観的に把握する必要があります。それが「経営者の目」。そして「税務署の目」は言わずもがな、税額を算出する従来の視点です。
 特に、経営者自身の目を養うことで、決算書はあるときは「自社の予言書」に、あるときは「通知表」に、またあるときは人間ドックならぬ「会社ドック」にもなります。体の各部位を検査することにより、健康状態を知るのです。

決算診断提案書システムは、社長を決算書に向き合わせる最強ツール

―― 「社長の四季」では、冒頭に総合得点が記載されています。会計事務所がお客様の経営を採点するということについては、どうお考えですか。

浅沼 倒産の原因はただひとつ、社内で発生した問題に経営者が見向きもせず、放置していることにあります。経営者が自社の問題を掌握できない。それが倒産を引き起こすのです。しかし、企業の使命はゴーイングコンサーンです。倒産は避けなければなりません。ですから、社長には決算診断提案書に向き合ってもらい、過去を反省し、未来への対策を練っていただきたい。これが、決算診断において総合得点を明示する理由です。
 初めは嫌がる社長も少なくありませんが、私たちはこの点数の意味を根気よく説明します。私たちがどうこうではなく、銀行が社長の会社を格付けしているのだと。それは融資をするうえで必要なことだからです。融資は企業経営において一種の命綱。格付けにより金利も変わってくる。社長がその格付けの根拠も分からないようであれば、そのランクを上げることはできない。格付けを上げるためにはまず、自社の状態を客観的に捉えることが必要なのだと。そう説明をすれば、ご理解いただけます。

―― 点数によって気づきを与えているわけですね。そして経営者に「改善しなければ」という意識が芽生える。

浅沼 そうなのです。経営に関わる問題はすべて決算書のなかに表れています。しかし、数字の羅列ではなかなかそれを読み取ることができません。それを顕在化させるのが決算診断提案書なのです。
 「社長の四季」には「2期比較」「分析値測定推移表」「同業他社との比較」「6要素診断」「キャッシュフローと診断活用データ」といった項目があります。「2期比較」や「分析値測定推移表」で、過去から未来へつながる現在の状況を把握します。「6要素診断」で現在の経営を6つの要素に分けて数値化する。これによって経営の全体像が把握できるようになっています。「6つの要素」というのは、「収益性」「生産性」「資金性」「安定性」「健全性」「成長性」です。このグラフを見れば、自分の経営のどこが悪いのか、自社のどこが弱いのか、強いのか、一目瞭然です。
 そして、「総合診断」の結果として、10段階の総合得点を算出する。そこまですれば、社長はいやが応でも現実と向き合わざるを得なくなります。このままではまずい、それではどうすればよいのか、という問題意識が芽生える。後悔することもあるでしょう。しかし、今の自社の実態を社長が十分に把握することなくして、将来の道筋は見えてきません。

経営者を決算書に向き合わせるのは税理士の務め

―― 初めてこの決算診断書を見た社長さんが感動されるというのもうなずけます。

浅沼 しかし、大事なのはそのあとです。その感動をどのように継続させていくか。そのためにポイントとなるのが、社長とのコミュニケーションです。その会社にもっとよくなってもらいたいという気持ちを持って社長に対することです。

―― 顧客志向ですね。

浅沼 「決算こそ最大のビジネスチャンスです」の冒頭にも書いてありますが、「企業は経営者次第」なのです。そして、その経営者を動かすことができるのは税理士だということです。税理士の一言で助けられた社長もいます。経営者は孤独ですから。

―― お客様に感動を与えることができれば、それは何らかの形で会計事務所に返ってくるでしょう。

浅沼 そう思います。ただ、最近は会計業界も価格競争の激化により、品質が下がっているように思います。顧問料が下がればサービスの質が下がるのは当然です。しかし私は、あまり顧問料を払えないお客様にも、できるだけ決算診断を取り入れた対応をしていきたいと思っています。経営者にもっともっと決算への関心を高めていただき、数字に強くなってもらうことが、長い目で見れば、会計事務所の成長発展につながると信じているからです。

―― 最後に、決算診断を活用した経営支援型事務所について、読者の皆様にメッセージをいただけますか。

浅沼 決算提案書から始まった決算診断提案書システムも、時代に合わせて進化し、その活用範囲も広がってきました。ここに「決算」一筋で歩んできた浅沼経営センターの歴史が凝縮されているといっても過言ではないでしょう。
 復刻版「決算こそ最大のビジネスチャンスです」の第二部「現場からの提案」では、50の実例を紹介しています。これは当社の社員が書いたものです。25年前のオフコンと手書きの時代に、大変な思いをしながら社長に喜ばれる決算報告をしてきた。それが浅沼経営のよき風土を作っていった。営業マインドを持った会計事務所を育てていった。それが決算診断の原点です。これをぜひ、皆様に読んでいただきたいと思います。
 経営診断の基本は、「経営者の問題は決算書にある」という考えです。社長が決算書と向かい合えば、いろいろなことが分かってきます。私は、決算診断は会計事務所にとっても、経営者にとっても、福音だと思います。会計事務所職員の教育にもつながるし、社長とのコミュニケーションにも使える。経営者からみれば「経営ドック」です。年に1回、経営ドックを受けて、自分の会社の体はどういう状態なのかを知る。それも、銀行から格付けされるより先に自己評価する。そのために経営者は決算書から過去と現在の数値を見て、未来に向けた対策を練らなければなりません。自分の会社なのですから、しっかり体調管理をします。決算診断は経営者を強くし、会社をよくします。継続は力なり、継続こそ最高のチャンスです。これこそが税理士の使命だと思います。

―― ぜひ、多くの会計事務所に決算診断をご活用いただき、お客様の成長と継続を支援していただきたいと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。


(実務経営ニュース2013年12月号記事を参考に作成しました)